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No.115 パワハラだけでお願いします。

2020.10.18

「先生、ウチの部門は男ばっかりなので、セクハラはなしにしてパワハラだけでお願いします」

管理職研修のカリキュラムを打ち合わせしている時に、部門長が当方にリクエストされたハラスメントのセッションに対する要望です。

ハラスメントで大切なことは、組織の中にハラスメントを起こさないような土壌や風土をつくること。もちろん、そのために言動に対する制約やポイントになる点はありますが、一番大切なことは“ハラスメントに対する正しい知識と意識”です。きっとこの部門長は、テレビやネットニュースで流布される間違った情報を鵜吞みにしてしまい、ハラスメントを理解したつもりになっているのでしょう。部門長がこのレベルの知識や意識では職場におけるハラスメントはなくなりません。また、これからも「このぐらいだったら良いだろう…」と言うハラスメントが横行する組織になってしまいます。

特にセクシュアルハラスメントは男性から女性に対するものだけではありません。マスコミが『逆セクハラ』と言う言葉を作りましたが、セクハラに正しい方向も逆もありません。男性から女性はもちろんのこと、女性から男性に対するセクハラも存在しています。そして忘れられているのが、同性から同性に対するセクハラや個人の性の指向をベースとしたセクハラ。

「ウチは男性ばかりなので…」と言う部門長は、きっとセクハラは男性が女性に対して行うもの。ウチの職場には女性が居ないのでセクハラは発生しない…と考えているようです。この瞬間から、この職場内における男性の性的マイノリティの方に対する意識はなくなってしまい、LGBTの方々に対するセクハラが(セクハラを行っている人たちには加害者の意識なしに)ますます横行してしまいます。

ハラスメントに対する教育は、まずは経営層や管理職、そして管理職がしっかりとした知識と意識をもって全職員に対する集合研修が実を結ぶのではないでしょうか。

「学びにも、順番がある」と言えそうですね。