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No.045 サブスクリプション社員。

2019.06.25

ここ数年、サブスクリプションの文字が目に付くようになりました。

 

商品やサービスを資産として購入・保有せず、契約期間内であれば必要なものを必要なだけ自由に使えるのが特徴です。ブランド品やアクセサリーなどの高級品は年に数回しか使わないのにすぐに流行遅れになってしまうので、保有欲さえ我慢できればとても効率的なビジネスモデルなのでしょう。

 

ブランド品、高級外車、アプリケーションソフトなど、その用途は広がりを見せていますが、この意識が人材にまで広がらないか不安も残ります。もし、「買うなんてもったいない。契約期間内なら自由に使えて、交換も自由。どうせ他人のモノだからガンガン使って、必要なくなったら契約解除すれば良い」と言う意識がこのビジネスを拡大させているのであれば、「正社員として雇うなんでもったいない。契約期間内なら自由に選んで、チェンジするのも自由。どうせ定着なんてしないのだから、ガンガン使って必要なくなったら辞めてもらえば良い」。人材に対してこんな意識をもつ経営者が居てもおかしくありません。

 

派遣社員や請負など法律でキチンと定義され保護されていても、まだまだグレーな雇用が幅を利かせる社会。「そんなヒドイ会社、嫌なら辞めればよいじゃないか」と言う意見もありますが、自分がこのお店を辞めたら、明日から誰が店舗運営するのか・・・?と、本来は経営者が心配しなければならない経営課題を、ワンオペしているバイトリーダーが悩み、挙句の果てにメンタル不全に陥ってしまう・・・こんな人が多いのも現実です。

 

人材をモノのように乱暴に扱えば、少しでもラクして給料をもらいたいという応募者が増える。それではいつまでたっても欲しい人材は集まらず、残って欲しい未来ある優秀な社員が退職し、せっかく残った社員もみんな人罪になっていきます。人材を人財に成長させるためには、採用した社員をサブスクリプション化せずに、居場所を提供して、定着してもらい、さらに教育して育成する“善循環のスパイラル思考と行動”が経営者には必要なのでしょう。

 

厳しい経営環境で、きれいごとは言っていられない。

 

しかし、そんな現状だからこそ人材育成は経営者の『永遠の実行すべき課題』なのだと考えます。