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No.072 社内会議室を使う

2019.12.15

研修を社内の会議室を使って実施する場合も多いでしょう。今回は、自社内の施設を使って研修を実施するときに気をつけたいポイントをご紹介しましょう。

●社内会議室を研修で利用する

社内で研修を実施するメリットは、社内なので移動がラク、研修事務局もあれこれと資料を外部に持ち出す必要がない、研修開始時に集合しやすい、受講生が通常の出勤経路と時間で間に合う、昼食を取りやすい、休憩時間にも業務に復帰しやすい、外部会場と違い会場を間違わない、外部会場を借りる必要がないのでコストが0円で済む、そしてなにより…社内にスペースがあるのだから研修会場として使えば良いのでは?と、こんなところでしょうか。

しかし、社内の会議室を研修会場にする場合はこんなことにも注意しなくてはなりません。


1)受講生人数に対して会場が狭い、机の数が足らない、夏は暑い
研修を前提につくられていない会議室の場合、むりやり多くの受講生を詰め込むため教室が狭く動きが取りずらいことが多々あります。また机の数が足らずに長テーブルに体格のよい男性社員が3人掛けで座って身動きが取れない、椅子の背もたれ同士が当たって起立礼ができない、そして夏は大人数のためにエアコンが効かず暑い…などなど。


3)部屋そのものが不適格
人数が少ないし、部屋が空いていたので今回の研修は『役員会議室』で…と言う研修会場がありました。会場は重厚なダークブラウンの会議用楕円テーブルにヘッドレストのついたふかふかの椅子…受講生にとってはめったに入ることのできない部屋に終日入れるのですから、これはこれでよい記念になったかも知れません。しかし、これではグループディスカッションが役員会議のようになってしまいますし、グループで演習を実施するにも机が移動できません。おまけに高い調度品のテーブルなら演習によって机に傷をつけないように気を使ったり、模造紙への記入の際に高価な机にマジックの跡がつかないように気を配ったり。そもそも、役員専用会議室には講師がスクリーンの横に立つスペースがなかったり、普段は講義をしないので、演台を置くスペースすらないなど。私たちが経験した社内研修会場の中で、一番研修に不向きな教室であったと言えるでしょう。


3)研修で使用する什器備品や設備がない
通常、研修では投影用データをスクリーンに映し出すためプロジェクターとスクリーンが必要になりますが、そもそも社内でプレゼンする機会がないのでこれらの機器がない、プロジェクターが古くて輝度が低いために投影しているデータが見えにくい、また、プロジェクターのバージョンが古くてPCのデータを受信できない、ケーブルが短すぎてパソコンに届かない、パソコンの電源を取るためのコンセントが遠くて、その上延長コードもない。研修に必要な枚数のホワイトボードが準備できない、マイクがない…など、慣れていないクライアントの場合、意外なところで足りないものが出てきたりします。


4)受講生の意識レベルが変わらない
いつもの、同じ場所、同じ時間帯で研修を実施するのは『勤務時間内の日常業務が研修に代わっただけ』とも受け取められます。加えて、職場に近いため何かあれば呼び出されたり、休憩時間には職場に戻ったりと日常から切り離されることがありません。そのため、日常業務から離れて知識習得する、スキルをアップするという目的からすると便利な反面、気分が変わりにくいというデメリットがあります。


かなり以前の話になりますが、地方の工場での研修をすることになりました。その時の研修会場が『従業員食堂』。もともと会議や研修を実施する構造になっていないため、マイク設備がなく後方には講師の声が届きません。食事時以外は空調が止まっていて寒い思いをしました。おまけに夕方4時ごろになると夜勤の勤務者がどんどん入ってきて、研修のすぐ後ろの席で大声で食事を始めてしまって…と言うこともありました。この時はさすがに事務局にお願いして食事をする方を遠い席に移動してもらう算段をしてもらいましたが、肝心の受講生も集中力が切れてしまいました。

外部会場で会社から離れた貸会議室での研修は、非日常体験で受講生の気分もピリッと変わります。また日常的に研修をしていないのであれば「会社がここまでお金をかけて自分達に研修をしてくれるのか…」と、受講姿勢も少し変わります。研修会場が少し繁華街にあるのであれば、研修後のたのしみもありますしね。

外部研修会場、社内会議室利用、どちらもメリット&デメリットがあります。個人的には、研修慣れしていないクライアントの場合は、迷うことなく外部の貸会議室利用での研修実施をおススメします。また、日常的に研修を実施しているクライアントの場合も、「いつも、こうだから」で決めてしまわず、時には外部会場も少し考えてみても良いかもしれませんね。